定款の内容・制定・変更
中小企業協同組合は、中小企業等協同組合法(中協法)により、組合の設立時に定款を作成することを求められています(中協法27条1項)。そこで、組合が作成する定款の内容や制定・変更方法についてみてみましょう。
定款の内容
組合の定款には、①事業内容②組合の名称③地区④事務所の所在地⑤組合員たる資格に関する規定⑥組合員の加入及び脱退に関する規定⑦出資一口の金額及びその払込みの方法⑧経費の分担に関する規定⑨剰余金の処分及び損失の処理に関する規定⑩準備金の額及びその積立の方法⑪役員の定数及びその選挙又は選任に関する規定⑫事業年度⑬公告方法を定めることとされています(中協法33条1項)。
これら①~⑬は、絶対的記載事項と呼ばれ、組合は、定款に必ず定めなければなりません。絶対的記載事項の記載が一つでも欠けている場合、定款そのものが無効になりますので気を付けましょう。
また、一定の内容を定める場合には、定款に記載する必要がある事項(相対的記載事項)もありますので、注意しましょう(中協法33条3項9)。例えば、組合の存続期間・現物出資者がいる場合のその氏名などです。
その他、組合が自由に記載することができる任意的記載事項もあります。例えば、理事会の諮問機関としての委員会の設置を定めてもよいでしょう。
定款の制定・変更
定款の制定・変更には、総会の特別決議を経たうえで(中協法27条3項・4項・5項、同51条1項1号・53条1項)、所管行政庁の認可が必要です(中協法27の2、同51条2項)。定款は、組合にとっての原則規程であるため、組合の実情に沿ったものである必要がある一方で、あまり詳細まで規定してしまうと、機動的な運営を妨げることがあります。そこで、定款は、あくまで、組合の運営についての大枠を定めることとした方がよいでしょう。もちろん、絶対的記載事項を定款から除くことはできません。
新たな組合が、初めて定款の制定する場合、まずは、全国中小企業団体中央会が示している中小企業組合定款参考例を参照し、各組合の事情に即して修正を加えていくのがよいでしょう。
また、経済事情の変更等により、制定した定款が実情に即さなくなったような場合には、積極的に定款の変更をしましょう。
規約
組合は、その原則的な規定として定款を定めます。しかし、通常、定款では、原則的なことのみを定めるため、組合の運営に必要なその他の事項は規約で別途定めることとなります(中協法34条)。規約には、総会・総代会に関する規定や役員に関する規定などを定めます。規約の設定・変更は、総会の普通決議で行います(中協法51条1項2号)。
定款・規約の備置き・閲覧
組合は、定款及び規約を各事務所に備え置き、組合員及び組合員の債権者から閲覧・謄写の請求があった場合には、その請求に応じなければなりません(中協法34条の2第1項・第2項)
定款・規約の制定・変更については、一定の手続が法定されています。また、定款・規約の具体的内容によっては、将来的に組合の運営上、問題が発生する危険性もあります。そこで、定款・規約の制定・変更について、一度、弁護士とご相談されることをお勧めします。