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2018.02.01

メルマガ(第39号)法律コラム~改正個人情報保護法のポイント解説④「いわゆる過剰反応問題について」

 

個人情報保護法に対するいわゆる過剰反応問題とは、同法の制定により、「個人情報であれば何でも、どのような場合でも保護しなくてはならない。」、「個人情報を他人に提供することは一切許されない。」などという誤解が生じ、必要以上に個人情報の取扱いを差し控えることをいいます。その結果、例えば学校や自治会が、自主的にクラス名簿や自治会名簿の作成・配布を取りやめる等の問題が起きました。

 目 次 

1.法律コラム~改正個人情報保護法のポイント解説④「いわゆる過剰反応問題について」

2.入所のご挨拶~弁護士 樋口美和

3.裁判傍聴のすすめ~その②

 

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1.法律コラム~改正個人情報保護法のポイント解説④「いわゆる過剰反応問題について」

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 個人情報保護法に対するいわゆる過剰反応問題とは、同法の制定により、「個人情報であれば何でも、どのような場合でも保護しなくてはならない。」、「個人情報を他人に提供することは一切許されない。」などという誤解が生じ、必要以上に個人情報の取扱いを差し控えることをいいます。その結果、例えば学校や自治会が、自主的にクラス名簿や自治会名簿の作成・配布を取りやめる等の問題が起きました。

 今回の改正により、従来は個人情報保護法の適用対象外であった5000人以下の個人情報を取扱う者も新たに個人情報取扱事業者とされました。そのため、学校や自治会も個人情報保護法の適用を受けることになり、なお一層の過剰反応を生むのではないかという懸念も聞かれます。

 しかし、個人情報保護法の目的は個人情報の保護そのものではなく、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することにあるのですから、社会生活上有用な名簿まで一切禁止されるというのは誤解であり、法の定めに従えば名簿の作成・配布も適法に行うことができます。

 具体的には、名簿に掲載される住所、氏名等は個人情報であるため、学校や自治体はその取得方法が適正である限り、利用目的を本人に通知すれば、個人情報を収集し、名簿を作成することができます。

 さらに、名簿上の情報はデータベースとしての「個人データ」であることから、本人の同意を得れば、クラスや自治会のメンバーで共有すること(第三者提供)、すなわち名簿の配布も可能になります。

 もちろん、同意を得られない場合はその者の個人データを共有することはできないため、円滑に同意を得るための工夫は必要になります。

 しかし、何よりも重要なのは個人情報保護法を正しく理解することであり、無用な誤解を生まないために、法を所管する個人情報保護委員会の丁寧で分かりやすい説明、広報活動が期待されるところです。

民法改正についての法律コラムは、今月号はお休みとさせていただきます。

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2.入所のご挨拶~弁護士 樋口美和

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 平成30年1月5日付で、当事務所に樋口美和弁護士が入所いたしました。

どうぞよろしくお願いいたします。

【入所のご挨拶】

このたび当事務所に入所いたしました、弁護士の樋口美和と申します。

平成30年1月1日に弁護士登録をしたばかりの新人で、まだまだ未熟ではありますが、諸先輩方を見習い、1つ1つの事件に真摯に謙虚に取り組み、日々成長していけたらと思っております。

私は大学時代に法律を学び、公平や弱者保護といった法の理念に感銘を受け、弁護士を志しました。

昨年1年間の司法修習では、盛岡で実務修習をしておりました。盛岡は初めて訪れる地でしたが、豊かな自然や、ほどよく都会らしい住みやすさ、岩手の人々の温かい人柄に触れ、少人数の中で懇切丁寧な指導を賜り、充実した修習を送らせていただきました。

司法修習中は生きている事件に日々接し、法曹の責任の重さを自覚するとともに、大変やりがいを感じました。人様の人生の大きな分岐点や、生き死にに関わる事件にも携わらせていただき、本当に責任の重い仕事なのだと実感しました。

大学時代は、弓道サークルと児童文学研究会に所属しておりました。子どもが好きで、休日に姪っ子や甥っ子と触れ合うのが楽しみな時間です。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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3.裁判傍聴のすすめ~その②

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 刑事裁判の手続(「公判手続」といいます。)は、冒頭手続証拠調べ手続検察官の論告・求刑弁護人・被告人の最終弁論判決、の順に進んでいきます。そこで、傍聴の際に法廷で何が行われているかを理解していただけるよう、手続の内容を少し詳しくご紹介いたします。今回は公判手続の最初の段階である「冒頭手続」についてご説明します。

 ①人定質問:開廷するとまず、裁判官から被告人に対する人定質問が行われます。これは、被告人として出廷している者が間違いなく被告人本人であるかを裁判官が確認する手続です。通常は裁判官が被告人に氏名、生年月日、住所、本籍を質問し、被告人がこれに答えます。

 ②起訴状朗読:次に、検察官が起訴状を朗読します。起訴状とは、裁判で審理の対象となる事実を特定するために必要な事項(被告人の氏名、犯行の日時・場所・方法など)と罪名(例・「傷害罪」)、罰条(例・「刑法第204条」)が記載された書面をいいます。

 なお、起訴の際、検察官が裁判所に提出できるのは起訴状のみで、裁判所は事前に証拠を見ることは一切できません。これは、裁判所が事前に証拠を見ることで被告人が有罪であるという予断を持ってしまうことを防ぐためです。これを「起訴状一本主義」といい、裁判所が中立・公正であることを担保するためにきわめて重要なルールとされています。

 ③黙秘権等の告知:次に、裁判官から被告人に対し、黙秘権の告知が行われます。具体的には、被告人には黙秘権という権利があり、質問に対して終始沈黙したり、答えたい質問にだけ答えることができること、ただ、いったん法廷で話したことは、被告人にとって有利不利を問わず証拠となること等が、裁判官より説明されます。

 黙秘権は非常に重要な被告人の権利であることから、被告人がきちんとその内容を理解できるよう、その年齢や理解力に応じて各裁判官が言い回しや説明の仕方に工夫をこらしています。

 ④罪状認否:次に、被告人と弁護人に対し、事件について意見を述べる機会が与えられます。被告人が自身の罪を認めている場合は「起訴状に記載されているとおり、間違いありません。」などと述べます。他方、否認する場合は、「私はやっていません。」などと行為自体を否定することもあれば、「お金は受け取りましたが、騙し取ってはいません。」などと罪を犯す意思(故意)がなかったと争うこともあります。

 冒頭手続が終わると、次に証拠調べ手続に入り、いよいよ検察官と被告人・弁護人の本格的な攻防が始まります。次号では、証拠調べ手続についてご紹介いたします。

「麹町グルメのご紹介」は、今月号はお休みとさせていただきます。