中小企業組合の種類~企業組合、商工組合~
中小企業の協同組合・組合は、中小企業等協同組合法(中協法)、中小企業団体の組織に関する法律(中団法)、商店街振興組合法(商振法)等にもとづいて組織されるところ、次のような組合等があります。今回は、企業組合、商工組合についてご紹介します。
企業組合(中協法9条の10)
組合員は自己の資本と労働力を組合に投入し、企業組合自体が1個の企業体として事業を行います。
事業組合等が個々の事業者の結合であるのに対し、企業組合は組合自体が企業体であり、その組合員は、組合に没入して独立の事業者たる地位を失い、組合の事業に従事することによって組合から勤労所得としての給与を支給される勤労者と化しているところに特徴があります。
個人が創業する際に、会社に比べて設立時の事務手続きが比較的簡単である一方で、会社と同様に法人格が取得でき、しかも有限責任のメリットを享受できるように考えられた簡易な会社ともいうべき組織です。
事業協同組合・企業組合・会社の違いは以下のとおりとなっています。
事業協同組合 | 企業組合 | 株式会社 | |
目的 | 組合員の経営の近代化・合理化・経済活動の機会の確保 | 組合員の働く場の確保、経営の合理化 | 利益追求 |
事業 | 組合員の事業を支える共同事業(中協法9条の2) | 商業、工業、鉱業、運送業、サービス業、農業等の事業経営(中協法9条の10) | 定款に掲げる事業 |
組合員・株主資格 | 地区内の小規模事業者等(中協法8条1項) | 定款で定める個人(サラリーマン、主婦、農業者、高齢者、無職、零細個人事業者等)及び法人等(中協法8条7項) | 特になし |
1組合員・株主の出資限度 | 100分の25(合併・脱退の場合100分の35)
(中協法10条) |
100分の25(合併・脱退の場合100分の35)
(中協法10条) |
限度なし |
議決権 | 出資額によらず平等(1人1票)
(中協法11条1項) |
出資額によらず平等(1人1票)
(中協法11条1項) |
出資別(1株1票) |
配当 | 組合の事業を利用した分量に応じた範囲又は出資額の年1割までの出資配当(中協法59条2項)。 | 出資額の年2割までの出資配当
なお剰余があるときは事業に従事した分量に応じた配当(中協法59条3項)。 |
出資配当 |
設立要件 | 4人以上の事業者が発起人となる
(中協法24条1項) |
4人以上の個人が発起人となる
(中協法24条1項) |
資本金1円以上
1人以上 |
行政の認可 | 必要 | 必要 | 不要 |
員外利用限度 | 原則として組合員の利用分量の100分の20まで(特例あり)
(中協法9条の2第3項) |
商工組合(中団法17条)
事業協同組合が共同経済事業を実施することにより、組合員の経営の効率化と経済的地位の向上を図ることを主な目的としているのに対し、商工組合は業界全体の改善・発達を図ることを主目的に同業者によって設立される組合です。
業界を代表する同業組合的性格を有していることから、設立に当たっては、組合の地区は原則として1以上の都道府県を地区とすること(同法9条)、その地区内の同業者の2分の1以上が組合員となるものでなければならないこと(同法12条1項)等の設立要件があります。
当事務所でサポートできること
上述しましたとおり、中小企業の協同組合・組合には、様々な種類があり、それぞれ組織形態や規制が異なります。
そのため、協同組合・組合にトラブルが生じた際には、組織形態や規制を踏まえたアドバイスを受ける必要がありますが、当事務所では複数の協同組合の顧問契約を締結している実績があり、かかる点を踏まえてアドバイスができますので、お気軽にご相談ください。
中小企業組合の種類~事業協同組合・事業協同小組合・信用協同組合編~はこちら