残業代請求された場合の初動対応

1 残業代請求された…

御社は、突然、残業代請求をされた、という経験はないでしょうか。

残業代請求の方法といっても、色々なパターンがあります。

退職した従業員本人から未払残業代の請求書が届いた、従業員の委任を受けた弁護士から残業代を請求する通知書が届いた、労働組合から団体交渉を求めるファックスが届いた等々…。

このような場合、初動対応を誤ると、いつまでも紛争の解決ができず、場合によっては遅延損害金や付加金等を合わせた高額な支払を強いられ、御社の経営全体に悪影響を及ぼすおそれがあります。

では、残業代請求を受けた場合、どのように対応すべきでしょうか。

 

2 企業側の初動対応

従業員本人、弁護士、労働組合のいずれから請求された場合でも共通して、初動対応として行うべき事項があります。

具体的には、以下の点に注意してください。

  •  従業員側の主張の検討

まず、従業員(弁護士、労働組合)が、どのような根拠に基づいて、未払の残業代の請求をしているのか、確認する必要があります。

事案によっては、従業員側の残業代請求に法的な根拠がなかったり、過大な請求をされている場合もあります。突然、従業員等から高額な残業代を請求する書面が届いても、慌てることなく、正当な請求かを見極めることが重要といえます。

  •  就業規則等の確認

では、正当な請求かを見極めるためには、どのような点に注意する必要があるでしょうか。

まず、就業規則の有無や内容、36協定等の労使協定の有無、雇用契約書の有無や内容を確認し、どのような場合に残業代の支払い義務が発生するのか確認してください。

  •  労働時間の把握

次に、どのように労働時間を管理・把握しているのか確認する必要があります。

タイムカードで管理する企業が多いと思われますが、残業に上司の許可を要求する企業もあるでしょう。

  •  その他の検討すべき事項

残業代を請求している従業員が管理監督者に該当する場合、残業代の支払義務はありません。

また、既に年数が経過している場合は、消滅時効が完成している可能性があり、時効の援用によって、支払義務が消滅する場合もあります(なお、消滅時効期間については、令和2年4月1日から3年に延長される予定です。)。

これらの事情についても検討すべきでしょう。

  •  まとめ

以上の点を踏まえて、残業時間(時間外労働時間、休日労働時間等)を把握し、残業代を計算することによって、従業員の請求が正当なものか否か、判断が可能です。これらの点を踏まえ、方針を決定し、対応することになります。

もちろん、このような対応を全て適切に行うことは難しいかもしれません。不安を感じた場合には、お早目に弁護士等の法律専門家に相談することをお勧めします。

3 当事務所ができること

前述のとおり、初動対応を誤ると、かえって紛争が長引き、御社に思わぬ損害が発生することにもなりかねません。十分な知識や経験もないまま、軽率に対応することは極めて危険です。当事務所は、労働紛争に関する十分な知知識を有しており、残業代請求対応の経験も豊富です。残業代請求を受けたときは、直ちに当事務所にご相談ください。

 

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