契約書の作成やレビュー(確認)を弁護士に依頼する意味を教えて下さい。巷間には弁護士が監修した契約書の書式集が存在するので、これを見れば十分ではないでしょうか。
まず、弁護士に依頼することのメリットですが、これは契約から生じるリスクを把握すること、及び自社に有利な契約書を作成(又は修正)することによって、自社に利益をもたらすことにあります。
  日本の教育制度上法律を学ぶ機会は少なく、会社の経営者であっても法律を熟知しているとは限りません。とすると、契約の元となる取引、又は契約書において、自社に不利益となるようなリスクがあってもそれを把握するのは困難です。そこで、このようなリスクを把握した上、時にはリスクを排除して自社に有利な契約書を作成又は修正することこそが、弁護士に依頼するメリットです。
  
なお、巷では弁護士等が監修する契約書の書式集が発売されており、会社において、書式集記載の契約書を元に作成された契約書を使用することもよくあります。しかし、これらの書式集は、当事者の一方にとって有利にならないように作成されている点、一般的な事案を前提としており特殊な事案には対応していない点で不備があります。
  そこで、弁護士に契約書の作成やレビュー(確認)を依頼することによって、自社に有利、かつその案件における特殊な点を考慮した契約書を完成させることができます。
 
交渉力が大きい会社が相手方となる契約書は、相手方が修正に応じないと思われるため、契約書のレビュー(確認)を弁護士に依頼する意味はないのではないでしょうか。
少なくともリスクを把握することによって、取引をするか否かを決定することができる、又はそのリスクを念頭において取引をすることができます。
  交渉力が自社よりも大きい会社との取引で、相手方から契約書の定型書式を用いるように要請されることはよくあることだと思います。このような相手方会社の場合、相手方は自社からの修正要請を受け付けず、そのような契約書の定型書式を、弁護士に依頼する意味はないのだと、疑念が浮かびます。
  しかし、交渉力が大きい会社=大手の会社と、リスクも把握せず取引をした上、そのリスクが発生してしまった場合、自社にもたらされる損害は大きいものと思われます。例えば、このような事態として、製造委託契約に免責条項(例えば、製造物責任等の責任を、相手方において免除した上、自社が第三者に対して責任を負う等の条項)があります。製造物がテレビ等の精密機械である場合と、書物等である場合では、このような免責条項を受け入れるか否かの判断が異なりますので、リスクを把握することは重要です。
  
また、交渉力の大きい会社が、契約書の定型書式の修正それ自体を拒んだとしても、別途覚書を締結するように依頼することは可能です。この意味でも、交渉力が大きい会社に関する契約書のレビュー(確認)を弁護士に依頼する意味はあります。
 
下請業者との取引が主な会社にとっては、下請業者は自身にとって不利益な契約書の修正でも受け入れて、不満や文句等は表立って言わないため、契約書の作成又はレビュー(確認)を弁護士に依頼する意味はないのではないでしょうか。
下請業者等が受け入れた契約書が、実は法律に反しているということもあり得るので、適法性判断という点で弁護士に依頼する意味はあります。
  例えば、所謂独占禁止法や下請法等、交渉力の差異に基づき不当な取扱いを行うことを禁止する法律があり、下請業者等が受け入れた契約書がこのような法律に違反することもあります。
  また、仮に、下請業者が不満や文句等は表立って言わないとしても、このような不況の昨今では不満が爆発することもあり得、また公正取引員会による調査で法律違反が判明することもあり、法律違反の契約書を見過ごすリスクは高いと言えます。
 
所謂BtoC(企業間ではなく、企業と一般消費者間の取引)が主な会社で、今まで顧客からクレームが来たことはありません。このようなBtoCにかかる契約書でも、契約書の作成又はレビュー(確認)を弁護士に依頼する意味はあるのでしょうか。
BtoC取引にかかる契約には、消費者契約法が適用されて、例えば、企業の債務不履行によって消費者に損害が生じたとしても企業は一切責任を負わない旨の条項等、消費者にとって著しく不利益な条項は無効とされております。
  このような条項のある契約書を放置していると、後日消費者から想像していない請求がなされる等のリスクがあります。特に、ネットでの情報が氾濫している現在において、法律違反の契約を締結していた企業と一度レッテルが張られた場合、企業に回復不可能な損害が生じることもあり得ます。
  そこで、このようなリスクを回避するため、 BtoC取引にかかる契約でも、適法性を判断するため、契約書の作成又はレビュー(確認)を弁護士に依頼する意味があります。