企業のための法律・ 経営相談室

弁護士法人中村綜合法律事務所

 

  03-3511-5611
受付時間9時~18時

受益者連続型信託とは

1 受益者連続型信託とは何ですか。
 受益者連続型信託とは、その名のとおり、「受益者」が「連続」するように設定した信託です。受益者連続信託とも呼ばれます。
 受益者とは、信託行為(信託を設定する契約や遺言)で定められたとおりの利益を受ける者を言います。たとえば、信託行為で、「受益者は受託者から毎月10万円ずつ支払いを受ける権利を有する」と定められていたとします。これによって、受益者は受託者に対して毎月10万円を支払うように請求することができます。
「連続」とは、一般的には、「切れ目がなく続くこと、続けること」をいいます。
したがって、受益者連続型信託とは、受益者が切れ目なく続く、次々変更されていくように設定した信託といえます。
 
2 受益者連続型信託の活用例
 では、どのように活用することができるのでしょうか。
【相談例】先祖代々の財産を血縁者に留めつつ、最愛の妻を守るために
―相談者Aさんの場合
私は、妻と二人で暮らしています。子どもはいません。私の家はある地方ではいわゆる名家と呼ばれる家系なのですが、心配事があります。
 私が死んだ後も安心して妻に生活させるためには、私の財産を妻に遺すようにしたいのですが、そうすると、いずれ妻が死亡したときは、私の財産は妻の親族へ相続されてしまいます。
 一方、財産を家に留めるために、私の弟に遺言で財産を渡すことも考えましたが、そうすると、私が死んだ後の妻の生活が不安定になってしまうのではないかと心配なのです。
 こっち立てれば、あっち立たず。どうにかならないでしょうか。
【信託スキームの一例】
 Aさんのお悩みに対しては、以下のように受益者連続型信託を活用して解決することが考えられます。
①信託契約の締結
相談者とその弟との間で、委託者を相談者、受託者を弟、信託目的を信託財産の管理と妻の生活保障、信託財産を相談者の先祖代々の資産、信託終了原因を妻の死亡、第1受益者を相談者、第2受益者を妻、残余財産の帰属権利者を弟とする信託契約を締結します。
このとき、それぞれの受益権の存続期間を設定します。
・第1受益者(相談者)は、信託契約締結時から相談者の死亡時まで
・第2受益者(妻)は、相談者の死亡時から妻の死亡時まで
・妻の死亡によって信託が終了した時から、残余財産は帰属権利者()
それでは、信託契約を締結した後にどうなるのかを順に見ていきましょう。
②信託契約締結~相談者の死亡
この期間は、相談者が第1受益者として、信託財産に含まれる自宅の土地建物に住むこともできますし、金銭も受託者(弟)から受け取って使うこともできます。普段の生活は信託設定の前後で何も変わりません。
③相談者の死亡~妻の死亡
相談者が死亡すると、受益者は相談者から妻へと変更されます。このように受益者が連続することから「受益者連続型信託」と呼ばれるのは、冒頭で述べたとおりです。
妻は、信託財産に含まれる自宅の土地建物に住むこともできますし、金銭も受託者から受け取って使うこともできます。普段の生活は、やはり何も変わりません。
④妻の死亡~
 妻が死亡したことで信託は終了します。弟が残余財産の帰属権利者に指定されていたため、残っている土地建物や預貯金については、弟がその権利者になります。
【信託を活用したメリット】
 受益者連続型信託を活用したことで、相談者の「こっち立てれば、あっち立たず」の悩みは見事に解消されました。
 
3 以上の相談例と信託スキームはほんの一例にすぎません。お客様が抱えるお悩みを、信託で解決してみませんか。当事務所は、そのお手伝いをさせていただきます。ぜひご相談下さい。