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弁護士法人中村綜合法律事務所

 

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行政裁量

最判平成18112日民集6093249頁(小田急高架訴訟本案判決)
主要な争点
① 各認可の取消を求める原告適格の有無→最大判平成17127
② 各認可の適否
事案の概要
本件は,小田急線の一部区間の高架化事業に関して,沿線住民であるXらが都市計画事業認可の取消しを求めた訴訟。
昭和39年,建設大臣が東京都市計画高速鉄道第9号線に係る都市計画を決定した(昭和39年決定)。都知事は,平成5年,昭和39年決定を,鉄道の利便性向上等を目的として,小田急線の一部区間について高架式による立体交差化する内容に変更した(平成5年決定)。
平成6年,建設大臣は,平成5年決定を基礎とする都市計画事業及び関連附属街路事業をそれぞれ認可した(鉄道事業認可,付属街路事業認可)。
これに対してXらは,地下式の方が環境影響・事業費の面で優れた代替案であり,高架式は周辺住民に騒音等で多大の被害を与えると主張して,各認可の取消訴訟を提起した。
1審は,平成5年決定が,考慮要素・判断内容の過誤欠落がある点で都知事に委ねられた裁量権の範囲を逸脱したものとして違法とし,取消訴訟を認容。第2審は,決定を適法として請求棄却。
Xら上告。最大判平成17127日(民集59102645頁)が本件鉄道事業認可に対する沿線住民の原告を認めたため,本件判決で各認可に関し実体判断を行うことになった。
判旨
○審査基準について
「裁判所が都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否を審査するに当たっては,当該決定又は変更が裁量権の行使としてされたことを前提として,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとすべきものと解するのが相当である。」
○環境影響の考慮
「平成5年決定において…構造を定めるに当たっては,鉄道騒音に対して十分な考慮をすることが要請されていたというべきである。…前記事実関係によれば,…環境の保全について適切な配慮をしたおのであり,…平成5年決定が考慮すべき事情を考慮せずにされたものということはできず,また,その判断内容に明らかに合理性を欠く点があるということもできない。」
○代替案の検討
「構造について3つの方式(①高架式,②高架式と地下式の併用,③地下式)の方式の比較検討をした際,点環境への栄養を比較しないまま本件高架式が優れていると評価している。しかしながら,この検討は…総合的考慮の上に立って高架式を適切とした本件調査の結果を踏まえて行われたものである。加えて,…高架式を採用した場合の環境への影響について,…環境影響評価がおこなわれ,…この結果を踏まえた上で平成5年決定を行っているから,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しなかったものということはできない。」
コメント
本判決は,最高裁が,都市施設に関する都市計画の策定に係る裁量判断について,裁量権濫用形の審査を採用すべきことを明らかにしたものとして意義がある。