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弁護士法人中村綜合法律事務所

 

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少年事件

わが子が少年犯罪の加害者になった場合,また,少年犯罪の被害者になった場合には,「少年事件」として,成人の刑事事件とは大きく異なる手続になります。
 加害者となった少年は,多くの場合身体拘束を受け,家裁送致後1ヶ月程度で処分が決められます。限られた時間で,少年にとって最善の処分がなされるよう,弁護士が「付添人」となって法律的・精神的に支援します。
 少年事件の被害者となった場合にも,弁護士を代理人とすることによって,示談交渉の代行等の法的援助が受けられます。

16歳の子どもが,ひったくりをしたとして逮捕されてしまいました。

これからどうなってしまうのでしょう?
20歳未満の少年が刑事事件を起こした場合,「少年事件」として,成人の刑事事件とは別の扱いになります。
  逮捕されると,警察・検察が事件を捜査します。この段階では,基本的に成人の刑事事件と同じ手続となります。少年自身も,警察・検察で取調べを受けます。少年の場合,「やむを得ない場合」でなければ勾留できないと法律で定められていますが,現実には勾留される場合も少なくありません。勾留されずに,警察署・検察庁に通う形で取り調べを受けることもあります(「在宅事件」といいます。)。少年事件の場合,「全件送致」といって,まずは必ず検察から家庭裁判所に送致されます。(なお,軽微な事案に         ついては,警察から検察を通さずに直接家庭裁判所に送致されることもあります。)
そして,多くの場合,観護措置がとられます。観護措置決定が出ると,少年は4週間程度,鑑別所において身体拘束を受け,心身の状態を調査されます。観護措置をとることが相当でない場合には,身体拘束をせずに調査をすることもあります。
事案が軽微な場合や,少年が再び非行に走ることはないと判断された場合などには,調査段階で事件を終わらせる「審判不開始」という処分がなされます。
それ以外の事件では,審判開始決定がなされ,成人の刑事事件でいうところの裁判が開かれることになります。成人の刑事裁判は,公開の法廷で行われますが,少年事件の審判は非公開です。また,原則として検察官の関与はなく,少年,保護者,裁判官,家庭裁判所調査官,及び,付添人がいる場合には付添人が出席します。審判は,1回限りでその日のうちに処分が言い渡されることも少なくありません。
最終的な処分の種類としては,「不処分」と「保護処分」があり,「保護処分」の中には,「保護観察」や「少年院送致」などがあります。「保護観察」とは,少年を家庭に戻し,通常の生活をさせながら,保護司等の指導・支援を受けさせて更生を図るものです。これに対し,「少年院送致」は,文字通り,少年を少年院に収容して,施設の中で更生を図るものです。また,最終的な処分はまだ決められないので,もう少し少年の様子が見たいとして,「試験観察」になる場合もあります。この場合には,試験観察期間が終わると,もう一度審判が開かれ,最終的な処分が決まります。
 
逮捕されたばかりの段階で,弁護士を付けることはできますか?
逮捕されてから事件が家庭裁判所に送致されるまでの間は,少年事件であっても,成人の刑事事件と同じように警察・検察の捜査が行われます。
  少年も,身柄を拘束されている間は,成人の被疑者と同じように,「弁護人」を選任することができます。弁護人を選任することができるのは,少年自身,親,祖父母,兄弟姉妹など,一定の範囲の人に限られています。
  少年の場合,身体を拘束されることで,成人の被疑者以上に不安や恐怖を感じるでしょうし,本当は無実であっても,その不安感・恐怖感から警察や検察の取調べに対してウソの自白をしてしまう危険もより大きくなります。
  早い段階で「弁護人」を付けておけば,弁護人が家族の代わりに身体拘束中の少年に会いに行くことができますし,少年の身体拘束が解かれるように働きかけることも可能です。
 
「付添人」とは,何ですか?
「付添人」とは,事件が家庭裁判所に送致された後,少年の正当な権利が守られるように支援する者です。
成人の刑事事件では,「弁護人」が法律上の支援・精神的な面での支援を行いますが,「付添人」は,法律上の支援・精神的な面での支援だけでなく,少年に寄り添い,少年が立ち直るためにはどうしたらよいかを一緒に考えたりします。
「弁護人」とは異なり,弁護士以外の人を「付添人」とすることも可能ですが,付添人には法律の専門知識が求められる場合も多く,弁護士を選任することが一般的です。
 
 
子どもは事実を認めているようですし,わざわざ付添人を付けるほどの事件ではないように思うのですが…
そんなことはありません。
  少年が事実を争っている場合はもちろん,事実を認めている場合であっても,少年の正当な権利を守るには,付添人の活動は大きな意味を持ちます。
  少年審判においては,「この少年は,どうすれば立ち直れるだろうか」という観点から最終的な処分が決定されます。そのため,事案の軽重のみならず,少年審判までの少年の反省の程度や,生活環境の再構築などが極めて重要になります。付添人は,被害者との示談交渉等を代行するだけでなく,少年が立ち直るための環境(就業場所・住居)を調整したり,二度と過ちを繰り返さないためにはどうすればよいかを少年といっしょに考えたりします。
親や警察・調査官には言いたくないことがある少年も,付添人にはそういったことを話してくれることもあります。そのため,少年に一番身近な「付添人」の意見は,審判においても重要視されることが多いといえるでしょう。実際に付添人は,審判の前に調査官や裁判所に対し,「付添人意見書」という形で意見を述べることとなっており,このような意見が提出できることは,付添人の最大の利点の一つです。
裁判官・家庭裁判所調査官も,もちろん少年のことを考えて,どのような処分をすべきか考えるのですが,あくまで中立的な立場であることに変わりはありません。付添人は,少年に寄り添い,審判期日には付添人の立場から,少年にはどのような処分が適しているか,意見を述べます。

ひったくり被害に遭いました。犯人が逮捕されたそうですが,16歳の少年だそうです。

ひったくりに遭ったとき,転んでケガをしました。治療費を請求したいのですが,誰に請求すればよいのでしょうか?
治療費は,不法行為に基づく損害賠償として,少年本人に請求します。
  未成年者であっても,少年が16歳であれば,民法上の責任能力が認められ,少年本人が損害賠償責任を負います。これに対し,少年の年齢がもっと低くて責任能力が認められない場合には,保護者が損害賠償責任を負います。責任能力があるとされるのは,一般的には12歳ぐらい(小学校卒業程度)です。
  ただし,ケガの程度にもよりますが,損害賠償額が高額な場合には,現実問題として少年自身に資力がないことが多いので,実際に負担するのは両親等保護者が負担するのが普通でしょう。
  被害弁償は請求したいけれど,加害者の少年やその家族とは関わりたくない,忙しいので交渉するのがわずらわしい,というのが被害者の本音だと思います。このような場合,弁護士に依頼すれば,弁護士が代理人として加害者の少年や家族と示談交渉にあたります。
 
犯人の少年には,しっかり反省してもらいたいです。審判での少年の様子を知る方法や,私の気持ちを少年に伝える方法はないですか?
審判での少年の様子を知る方法としては,少年事件記録を閲覧・コピーするという方法,審判を傍聴するという方法,処分結果等審判期日で行われた手続などについて裁判所から説明を受けるという方法,裁判所から審判結果等の通知を受けるという方法があります。ただし,審判を傍聴できるのは,一定の重大事件の被害者及び遺族のみで,また,少年が事件当時12歳に満たなかった場合には,傍聴が認められないという制限があります。