企業のための法律・ 経営相談室

弁護士法人中村綜合法律事務所

 

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法人の刑事事件

  企業犯罪は、企業に大きなダメージを与え、積み上げてきた信用を一気に喪失させます。場合によっては、企業倒産に至ることもあり得ます。
 そのため、常日頃から、犯罪の発生を防ぐための方策を考え、不幸にして犯罪が発生してしまった場合には、いかに対応すれば最小限の損失で済ますことができるかを考える必要があります。
 当事務所では、予防法務にも力を入れており、企業犯罪の発生を予防するためのアドバイスをはじめとして、安心して企業活動を行えるようあらゆる側面からサポートして参ります。
 また、当事務所では、これまで脱税事件や贈収賄事件などの経済事件の弁護活動を行ってきた実績もあり、これまでの経験を踏まえて、きっと、貴社のお力になることができると確信しております。
 
企業犯罪とは、どういうものをいうのですか。
企業が経済活動を行うに際し、利益追求などのために違法な行為を行うことをい い,多種多様な形態があります。
    例えば、不正融資・乱脈融資について、刑法上の背任罪(刑法247条)・会社法上の特別背任罪(会社法960条)などが規定されています。
  また,会社の役員等については、法令上配当を行うことができないのに配当を行った場合の違法配当罪(蛸配当とも言います,会社法963条5項2号)や、株式発行時に行う払い込みを仮装する行為の預け合いの罪(会社法965条)、権利行使に関して金銭等を供与する利益供与罪(会社法970条)などが規定され,設立,配当,株主総会など会社経営における様々な局面で,企業犯罪が成立するおそれがあります。
  他にも,会社経営者など未公開情報を入手できる地位にある者が、未公開の重要情報が公開される前にその会社の株式を売買するいわゆるインサイダー取引や,独占禁止法が禁止している私的独占・不当な取引制限に抵触する行為(カルテル・入札談合)なども犯罪として規定されています。
そのほか、脱税や贈賄罪なども企業犯罪の一例として考えられます。以上のように,企業犯罪は多種多様な形態のものがあり,全てを正確に理解しておくのは困難であると思われます。
 
企業犯罪には、どのような特徴がありますか。
個人による犯罪に比べて、被害が大きくなることが多く、被害者の範囲も不特定 又は広範囲に及ぶ可能性があります。
  そのため、社会に与える影響は大きく、企業の信用が失墜するだけに止まらず、 企業の倒産にまで追い込まれることも少なくありません。
  また、企業犯罪が、企業という組織体の業務活動と不可分の関係にある犯罪であ るため、犯罪に関与する個々人の違法性の意識は希薄なものとなりがちです。
  さらに、企業という組織体の中で行われるため、責任の所在を明らかにすること が困難な場合が多いといえます。
 
企業犯罪に対して、どのような制裁制度がありますか。
企業犯罪に対する制裁には、行政的制裁、民事的制裁、刑事的制裁があります。
  行政的制裁としては、①法人の解散命令、②許認可・登録の取消し、③営業停止 処分、④入札指名・参加の停止処分、⑤輸出入禁止処分、⑥立入検査、⑦業務改善 命令、⑧勧告・警告・注意、⑨違反企業の公表、⑩課徴金・過料、⑪行政指導など があります。強制力のあるものからそうでないものまで,様々なものがあります。
  民事的制裁としては、被害者からの損害賠償請求(民法715条,709条)が考えられます。特殊な例として,会社の取締役の違法行為によって会社が損害を受けた場合に、会社のために、一部の株主が代表してその取締役の責任を追及する株主代表訴訟(会社法847条)があり,この場合にも会社及び役員等は対応に追われることとなります。
  刑事的制裁としては、日本の刑法は、個人責任を基本とするため、原則として企業自体が刑事的制裁を受けることはなく、その企業の中の一定の個人が刑事制裁を受けることになります。例えば、会社の取締役が、自己若しくは第三者の利益を図り、又は会社を害する目的を持って、会社との信任関係に違背して、会社に財産上の損害を与えた場合(不正融資等)には、特別背任罪が成立し、その取締役に10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその両方が科される場合があります。ただし、両罰規定(行為者たる人と事業者たる法人の両方を処罰する旨の規定)がある場合(例えば独占禁止法、金融商品取引法など)には、違反行為者を処罰するほか、企業に罰金が科せられる場合があります。
  
企業犯罪を解明する手続きにはどのような手続きがありますか。
企業犯罪を解明する手続きとして、通常の警察及び検察による犯罪捜査のほかに、 特定の経済犯罪に関しては、証拠の収集や証拠の価値に関する判断につき特別な知 識や経験が必要とされるため、当該分野を専門とする行政機関が調査権限を有する 犯則調査手続を採るものがあります。
  具体的には、国税に関する租税犯、金融商品取引法違反、独占禁止法違反に対す る犯則調査手続があります。
  これらの犯則調査では、通常の犯罪捜査とは異なり、形式的には行政機関による  調査手続ではありますが、臨検(任意処分である検査を強制的に行う調査であり、 物件又は住居その他の場所について、その存在、性質、形状、現象などを五感の作 用により知覚、認識する処分)、捜索、差押え等の強制的処分も行うことができ、 最終的に刑事手続へとつながりうる点で、実質的な意味における犯罪捜査であると いえるでしょう。