麹町弁護士による企業法律相談

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法人税

(法人税の計算方法)
法人税の計算方法について教えてください。
法人税は、「課税所得金額(千円未満切捨て)×法人税の税率=法人税額」で計算されます。
  法人税の基本税率は、23.4%(平成30年4月1日以後開始事業年度では、23.2%、以降、税制改正により基本税率が変動することがありますので、注意して下さい。)です。ただし、期末資本金の額が1億円以下の法人については、所得金額のうち年800万円以下の部分については、原則として19%(注)となっています。
    例えば、課税所得金額が1億円の場合には、次のように計算されます。
  (期末資本金の額が1億円超の法人)
   1億円×23.4%=2340万円
 
  (期末資本金の額が1億円以下の法人)
①    800万円×19%(注)=152万円
②    (1億円-800万円)×23.4%=2152万8000円
③ ①+②=2304万8000円
  
   (注)平成29年3月31日までの間に開始する事業年度については15% 
 
では、そもそも、法人税の課税所得金額は、どのように計算するのですか。
法人税の課税所得金額は、益金(法人税法上の収益)から損金(法人税法上の費 用)を控除して計算します。
  ただ、実際には益金から損金を控除して計算するのではなく、企業会計の損益計 算書で収益から費用を控除して計算した当期純利益に、企業会計の「収益・費用」 と法人税の「益金・損金」の異なる部分を調整(加算、減算)して、法人税の課税 所得金額を計算します。
 
法人税の「益金」と企業会計の「収益」は同じものではないのですか。
必ずしも同じものではないです。
  益金とは、原則として、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡、有償又は 無償による役務の提供、無償による資産の譲受け、その他の取引で資本等取引以外 のものに係わる収益をいいます。
    そして、法人税の益金と企業会計の収益とが決定的に異なる点は、法人税におい ては、無償取引からも収益が生じると考え、益金に算入される点です。
 
それでは、法人税の「損金」と企業会計の「費用」も必ずしも同じものではない のですね。
はい、必ずしも同じものではないです。
  損金とは、原則として、当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その 他これらに準ずる原価の額、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用の額 及び当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るものをいいます。
  そして、法人税の損金と企業会計の費用とが決定的に異なる点は、販売費、一般 管理費その他の費用をいつの時点を基準に認識するかという点です。
  つまり、企業会計では、費用が発生した時点を基準に費用として計上しますが、 法人税法上では、償却費を除いて、事業年度末までに債務の確定したものに限って、 損金に算入することができます。
  
(役員給与)
住宅販売を営むA株式会社が、取締役に対して、 5,000万円の住宅を通常販売価 額の70%の 3,500万円で提供する場合、その通常販売価額との差額を給与として 認識して源泉徴収しなければなりませんか。
A株式会社が、取締役に住宅を 3,500万円で販売した場合、正規の販売価額の   5,000万円との差額である 1,500万円については、経済的利益の供与、つまり現物給与の支給にあたると解されますから、源泉徴収が必要となります。
  ただ、使用者が役員又は使用人に対し、自己の取り扱う商品、製品等の値引販売 をすることにより供与する経済的利益で、次の要件のいずれにも該当する値引販売 により供与するものについては、非課税として扱われます。
 ( 1)値引販売に係る価額が、使用者の取得価額以上であり、かつ、通常他に販売す  る価額に比して著しく低い価額(通常他に販売する価額のおおむね70%未満)  でないこと。
 ( 2)値引率が、役員若しくは使用人の全部につき一律に、又はこれらの者の地位、  勤続年数等に応じて全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差を設け  て定められていること。
 ( 3)値引販売をする商品等の数量は、一般の消費者が自己の家事のために通常消費  すると認められる程度のものであること。 
 
(従業員給与)
B株式会社の従業員Xが、12月に合意退職に至り、12月いっぱいで退職しま した。その退職の際に、12月の給与とは別に、給料1か月分を支払ったのですが、 この分を損金として処理できるのですか。
B株式会社が退職する従業員Xに支払う給与1か月分は、雇用契約が切れたとき の会社からの支給であり、退職給与に該当するため、B株式会社の損金として処理 することができます。
  なお、退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与 及びこれらの性質を有する給与(退職手当等)に係る所得をいいます。
  そして、労働基準法第20条の規定により使用者が予告をしないで解雇する場合 に支払う予告手当は、退職手当等に該当します。
 
(交際費)
C株式会社は、得意先の社長と専務を懐石料理のお店に接待し、得意先の社長と 専務は一人当たり 10,000円で、C株式会社の社長と専務は、一人当たり 5,000円の 料理を注文し、合計 30,000円の支払をしました。
  この場合、一人当たり 5,000円を超える分だけを交際費等として会計処理をすれ ばよいのですか。
C株式会社の一人当たりの支出金額は、( 10,000円×2人+ 5,000円×2人)÷ 4= 7,500円となり、一人当たり 5,000円を超えていることになりますので、この懐石料理についての合計支出金額( 30,000円)が、すべて交際費等となります。
  そして、交際費等の範囲から除外される飲食費は、一人当たりの金額が 5,000円 以下の費用それ自体が対象となりますので、一人当たりの金額が 5,000円を超える 費用については、その費用のうちその超える部分だけが交際費等に該当するのでは なく、その費用のすべてが交際費等に該当しますので注意してください。
 
(関係会社への援助)
D株式会社には、80%の出資をしている子会社があります。現在、子会社が経営危機の状況にあるため、D株式会社は、子会社に対して無利息の融資をしようと考えています。この融資額は、全額損金の額に算入できるのですか。
全額損金の額に算入できる場合があります。
  原則として、法人が金銭の無利息貸付または債権放棄等により、無償で経済的利益の供与を行った場合、その無利息貸付等によって供与される経済的利益の時価相当額は寄附金として扱われ、損金算入に制限を受けます。
  ただ、法人が子会社に対して無利息貸付等をした場合において、例えば、その無利息貸付等が、業績不振の子会社の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので、合理的な再建計画に基づくものであるなど、その無利息貸付等をしたことについて相当の理由があると認められるときは、その無利息貸付等により供与される経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとされ、損金の額に算入できる可能性があります。